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「初春大歌舞伎 昼の部」を観た。

 
   「初春大歌舞伎 昼の部」を観た。     
    令和2年1月22日(水)
                               
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  • 夜の部を観たから昼の部も観たくなった。面白いことに気づいた。以前は「歌舞伎のお誘いです」と声を掛けると、なんとかみなさんは時間を都合してでも付き合ってくれた。しかし、近頃は「幼稚園の入学面談日です」「その日はあいにく病院の検診日です」「親の介護で出ることができません」などなどと断られることが多くなった。みなさんそれぞれに年を重ねて来たり、お子たちの受験や進路で日々忙しそうである。でも、そのように断られることもじじいは嬉しいのである。

    なぜなら、断られると次の人に電話をせねばならないからである。つまり1番目の人が一つ返事で歌舞伎に付き合ってくれたら、もう次の人にお誘い電話ができなくなるからである。こうしてあちこち連絡をすることで、久しぶりのお話や近況を聞くこともできるのである。なかには留守番電話に入れておくと「えっ残念、歌舞伎だったんですか?」と電話に出られなかったことを残念がる人もいる。

    幕開けは、初春を寿ぐ華やかな「醍醐の花見」であった。二幕目は、珍しく源義家役を七之助演ずる「奥州安達原」であった。その源義家を敵視する安倍貞任と宗任兄弟の複雑に絡みあった物語は見応えがあった。三幕目は、太郎冠者を軽妙な酔っ払いぶりで笑わせてくれた吉右衛門の「素襖落」であった。この日の打ち出しは、お馴染み河竹黙阿弥作「河内山」であった、この痛快な七五調のせりふを身にまとったじじいは、年甲斐もなく肩を怒らせてながら歌舞伎座を出た。

    歌舞伎座を出ると「久しぶりですから先生、お茶でもしませんか」と由美子が誘ってきた。誘われて断るのも烏滸がましいと、少し歩いてライオンでビール飲んだ。いつもなら、芝居が終わるとあたかも風のように「さよなら」と素っ気なく帰る由美子だった。しかし、明日も予定が入っていたので今宵はちょっとだけお酒とお喋りをした。2人で新橋まで歩いて、じじいは東海道線に向かい振り返ると、銀座線に乗ると言っていた由美子がいつまでも心配顔でじじいを見送っていた。

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