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本朝白雪姫譚話を観た。

 
    本朝白雪姫譚話を観た。      
    令和元年12月10日(火)
                               
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  • 歌舞伎を長く観つづけてはいるが、この幕開けの「神霊矢口渡 頓兵衛住家の場」は初めてのような気がする。この外題の作者は「福内鬼外」とあるが、これは江戸は中頃の「本草学者・地質学者・蘭学者・医者・殖産事業家・戯作者・浄瑠璃作者・俳人・蘭画家・発明家」として名高い平賀源内の浄瑠璃作者としてのペンネームであった。この作品では「父親の強欲非道ぶりが、娘お舟の悲恋を際立させている」という場面が芝居の見どころであると言われているが、あの江戸の才人と評されている源内が「どのようなわけがあって、このような浄瑠璃を描いたのだろうか」との想像を巡らせていた。

    二幕目の「本朝白雪姫譚話」の幕が下りた時に、今夜お誘いしたりえさんが「7人の妖精たちが可愛かったね!」と何度もつぶやいていた。これでもかと子役を登場させたところが、この芝居の面白さと魅力である。これからまだ観る人もいるから、ここで詳しく触れることは憚られる。そんな言い逃れをして、ここでは「あまり内容に関わりのない」ようにして、いくつか気になったことどもを書き出してみた。

    その一つ目は、もう前述したが「7人の妖精たちが歌い踊り、そして全身で語る」のがなんとも愛くるしい。二つ目は「紗幕というらしいが、長唄や琴が舞台の奥に透けて見えるという舞台美術の斬新さ」に驚いた。三つ目は、これを最初に書くべきであったろうが「白雪姫を演ずる玉三郎丈は、昭和25年生まれというからぼくより10歳も年下である。しかし、その69歳が16歳を演じて可愛く美しい」のである。

    東海道線藤沢駅に降り立つと雨が降り始めていた。コートの襟を立てて手袋をして家路を急いだが、なぜか心が温かだった。
      
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    ※「歌舞伎美人(松竹株式会社)」のポスターを借用しました。


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