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女優 村岡希美【一話】 [出会いびとの記]

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  女優 村岡希美
 
 (一話)

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  •  幕があがると、カルメンと2人の男が登場します。

     この自由で情熱的な女を登場させることで、この芝居のプロローグにしょうとする企みらしいのです。
     ところでカルメンとは、ロマ(ジプシー)という流浪民の血を引く娼婦でありまして、連れ込んだ男の持ち物を剥ぎ取るような女なのです。
     
     どうしたことだろうかカルメン役の村岡希美は、そんな不気味なジプシー女になりきっているのです。
     もともと村岡希美という女優は楚々とした丹精な顔立ちの持ち主ですから、このようなスキャンダラスな事件を引き起こすような、カルメン役は似合わないと思っていましたが見事に裏切られたのです。

     ただ裏切られただけではなく、これからはじまる「第二章 流れ姉妹 ~ザ・グレートハンティング~」というドラマを暗示させる役どころを巧みに演じきっているのです。

     「女優村岡希美」とは、また大仰なタイトルで書きはじめたもんです。
     
     前々から芝居を観るのは好きですが、気の利いた批評のできるほどの素地も素養もありません。
     あるのは生来の図々しさと無尽蔵の時間だけです。いい時代になったもんです。ずぶの素人までがブログとかいうゲリラ的表現手段によって、誰からも邪魔にもされずにこんなに気楽に芝居批評ができるのです。
     
     それにしては、「芝居の話から、横道に逸れているようですが」とのお声が聞こえたような気がしますが、それは芝居を知らないからです。
     昔の芝居見物はお花見と同じで、咲く前から今か今かと待ちかねて、満開になればなったで町内みな打ち揃って大騒ぎとなり、さんざ騒いで二日酔いの醒めたころには散った桜を惜しむのです。

     芝居見物の楽しみ方も、これとよく似ているのでござんす。

     ところでどうして芝居小屋から、芝居弁当と飲み物を取り上げてしまったのでしょうか(いやいや言い訳は不要です)。

     いまの流行りなのでしょうか、第一章の梗概がスクリーンに映し出されています。いかにも親切なんですが、舞台(話)の流れを理解しておくのは観にいった客の責任でもあるわけです。
     こんなに親切なら前もってチラシなんか読んでおかなければよかった思うのは、私が天邪鬼だからでしょうか。

     娼婦と物乞いの役は大根でもできると、いつも知ったかぶりをする御仁が語っていました。
     そういえば歌舞伎なんかでも、同じ俊寛役であっても演ずる役者によってはその評価が異なります。西洋劇でも、あのペルソナ(役柄・人格・仮面)を、うまく演じきったと論評してあるのを読んだことがあります。

     その役柄を演じきるという役者の究極の目的が達成された時に、はじめて観衆は感動するものです。
     
     芝居が跳ねて会場から出てゆく観客のざわめきを聞いて、この芝居の評価が決まったようです。
     その客に向かってパンフレットを売っていた座長の村岡希美に、「今よりももっと年を重ねたら、さらに味のある役者になれるよ」と臆面もなく言い放ったのです。

     ご本人は、その言葉をどのように受け取ったかについては知りませんが、そんな期待のできる今日の「根上かつこ」役だったのです。

     座長村岡希美と書いてしまいましたが、彼女はれっきとした「真心一座 身も心も」の座長だったのです。
     そのことについては、座付き演出家の「河原雅彦ロングインタビュー」(パンフレット)に詳しく書いてありましたので、遠慮なく引用させてもらいます。

     「村岡さんが座長になった経緯は?」
     もう簡単。「村岡さん、やって」って(笑)。
     僕、自分がやってた劇団では品のないことばっかりやってましたから、品のある人に憧れていて。
     村岡さんは品があるじゃないですか。座付き演出家がいて、座付き作家がいて、にぎやかしがいて(笑)、そしたら村岡さんを座長に立てておけば、ちょっと品のいい一座に見えるだろうと。
     品って大事ですよね~。村岡さんも座長という肩書きだからってことではなく、デリケートに気を配って現場の雰囲気をよくしてくれています。
     女優さんとしても、凛としていて独特の個性がありますよね。やっぱり千葉雅子と相対する存在感を出せる人は、なかなかいない。村岡さんは控え目なところもきちんと持ちつつ、出るところは出る、その出方にも品を感じます。
     千葉さんのような強い個性を持った女優さんと並ぶ時には、個性的でありながらものすごくバランスがとれる人ってことは重要なポイントだと思う。

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     さて、「真心一座 身も心も」の公演は、明日、10月21日(日)の昼夜2回公演をもって千秋楽となります。
     私は部外者ではありますが、もし興味のある方はどうぞ「赤坂レッドシアター」までお運びください。新しき演劇のあり方に挑戦しています。

     また女優村岡希美について知りたい方は、パソコンで、そのまま「村岡希美」を検索してみてください。


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