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「スカシユリ物語」



    「スカシユリ物語」   
    令和2年6月1日(月)
                               
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  • 毎年暮れになると、新聞屋さんが玄関前の小さな大理石棚に球根を置いてゆく。以前に「これは賄賂だよ」と冗談を言っこともあったが、その年によってヒヤシンスの球根だったりユリの球根だったりした。枯らしてしまうのもかわいそうだからと大きめの植木鉢で育てて花の咲くのを楽しんでいた。

    ところがヒヤシンスならよいが、ユリは1,5m以上にも成長するから、わが家のベランダ庭園では狭くてかわいそうであった。そこで翌年から、ユリの球根が届いた時には町内会の公園で育ててもらうことにした。ところが去年の暮れは、そのスカシユリの球根を町内会に届けるのを忘れていた。気づいた時には、茎を伸ばして葉も青々と伸びはじめていた。仕方なくではあったが育ててみると、今までに見たことのないような色合いの花が咲いた。

    なんでもユリ科の球根は咲き終えたら、掘り出して涼しいところで保管して、翌年に植え替えなくてはならないと聞いたことがある。しかし、美しい色合いでなかったこともあってか、昨年は鉢から掘り出すこともせずに放置してあった。それなのに今年も健気に2本の茎をすくすく伸ばして、それぞれに12個の花芽をつけた。それが今朝開花した。

    「万葉集」に、

    大伴坂上郎女(巻八1500番歌)
     夏の野の繁みに咲ける姫百合の知らえぬ恋は苦しきものぞ
        
    (夏の野の茂みに咲いている姫百合が誰にも知られないように、相手に知られていない私の恋は、苦しく切ないものです)

    という和歌が載っていた。このスカシユリと姫百合が同種かどうかは知らないが、もし違っていても親戚かも知れないと勝手に判断した。色合いは異なるもののどうしたことか、あの礼拝堂で聴いた「麗しの白百合(讃美歌496番)」が聞こえてきた。

     うるわしの白百合 ささやきぬ昔を
     イエス君の墓より いでましし昔を
     うるわしの白百合 ささやきぬ昔を
     百合の花 ゆりの花 ささやきぬ昔を

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