「行雲流水」 [令和6年 (2024)]
「行雲流水」
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幼い頃から天気のよい日は、野原の草叢に寝転んで、空を見上げて流れる雲を見ていた。特に戦争の終わった後の空は、殊更に澄んで綺麗だったことを記憶している。
こうして寝転んで空を眺めている時だけは、誰にも邪魔されずに自由だった。しかし、その頃は、まだ「自由」の意味も文字すらも知らなかった。もしかしたら、幼くして戦争という極限状況を体験したからだろうか、心だけは早熟だったかも知れない。
文庫本を持って学校にも行かずに、丘の草原に寝転んで本を読んでいた中学時代が懐かしい。この不登校の経験があったから、後々「些細なことに拘らずに生きる」というのを「行雲流水」という言葉に置き換えて「座右の銘」にしたかも知れない。