「向日葵（ひまわらず）」

 　「向日葵（ひまわらず）」
　

　　　　　令和５年６月２５日（日）　

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• ひまわりは｢夏の太陽に向かって咲くから向日葵だ｣と聞いている。そんな逞しい花だから、なにかに迷った時や落ち込んだ時は、この花の堂々とした生き方に救いを求めたり、あやかりたいと願うのだろう。
  
  境川沿いに植えられたひまわりは、今年も川面の照り返しの中で、その黄色を一層黄色に輝かせていた。誰がどんな思いで毎年ひまわりを育てているのかを知らないが、この川沿いの道を歩く人たちに「安らぎを届けよう」としていることだけは伝わってくる。
  
  しかし、ほとんどのひまわりが午後の陽射しに向かって咲いているのに、なぜか、この１輪だけは太陽とは逆の方向を向いていた。じじいが｢どうして?｣と語りかけても、ひまわりは少し色あせた花びらを垂らして悠然と黙しているだけだった。じじいには、そのひまわりの表情までは読み取れないものの、他のひまわりに比べれて、このひまわりだけは「浅黒く変色している」とは感じられた。それは「あたかも老いたものの成熟の姿」ではないかと思われた。
  
  向日葵や陽に逆らいて老いの空